薬研堀にある夜の古着屋「peequod」のルーツは十日市にあった

エッセイ
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山村 将太

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薬研堀にある隠れ家的夜の古着屋「peequod」の店主。みんなには「ぴー太郎」と呼ばれてます。
山村 将太

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「どこにでも行きやすいところがいいです。まだ仕事も何もかも決まってないので・・・。」

僕がそう言うと目の前にいる藤崎マーケットの2人を足してちょうど2で割った顔の不動産屋が自信満々に「じゃあ絶対十日市ですよ!」と答えた。

その瞬間から僕の十日市生活が始まった。

6年前の春、僕は大学を無内定で卒業して生協のアパートも追い出され職なし家なしの根無し草状態だった。

ホームレス大学生。いや、もはや大学生でもないし社会人でもないので社会的に見たらシンプルにホームレス。DaiGo的に見たら「いない方がいいどうでもいい命」。

そんな奴が訪ねて来たら不動産屋でイヤな顔されるだろうなと思っていたが、そんな僕にも藤崎(本当は違う名前だけど僕は勝手に藤崎と呼んでたからここでも藤崎と呼ぶ)は真摯に対応してくれた。

「職探し中ということでそれはまぁなんとかしますけど、今何か事件起こしたら住所不定無職の男って報道されちゃうから気をつけてくださいね(笑)」

ラララライな顔でそんなことを言ってきてムカついたけど((笑)じゃないのよ(笑)じゃ)、言葉通り藤崎がいろいろ頑張ってまぁなんとかしてくれたおかげで住所不定無職の人間でもすぐ部屋を貸してもらえた。

 

十日市電停徒歩3分の1K家賃36500円(水道代込み・オール電化)。

ここに住むことになり最初に行った場所が十日市のヲルガン座。

 

市電の線路沿いを歩いているとでかでかと「ヲルガン座」の文字が照らされていて超マブいじゃん・・・となって誘虫灯にまんまと釣られる蛾のようにふらふらと入店した。

ヲルガン座は、店内の雰囲気も置いている本も酒も料理も好きで「サイコーじゃん・・・戸籍ここに移しちゃお」と思った。

「まぁ戸籍どうこうよりまずは職だよな。帰りにホットペッパーをコンビニで取って帰ろ・・・」と半分酔った頭で考えていると

ちょうど求人募集の紙が出口の分厚い扉にでっかく貼られていて、「これは!!運命じゃん!!しかもけっこう人足りてなさそうな書き方だ!すぐ働かせてくれそう!」と食いついて、後日電話した。

(すぐ働かせてくれそう!と言ったけど実際はけっこう難航した。飲食店で働いた経験もライブハウスで働いた経験もないから今思えば当然なんだけど、俺は俺でとにかくもう面接落とされるのがトラウマすぎたので千と千尋の神隠しの「ここで働かせてください!」のシーンをマイルドにねちっこく希釈した感じの、どちらかというと大槻班長の「ゴネ得っ・・・!」な粘り方で渋々お試しで働かせてもらえることになった)。

ヲルガン座で働いてる時代の話は色々ありすぎて長くなるから省略するけど、なんだかんだでそれから3年ヲルガン座で働きとてもお世話になった。全然できなかった料理もめっちゃできるようになった。

「住所不定無職」が「十日市住みヲルガン座スタッフ」というなんだか洒落た称号を手に入れた。めざましいジョブチェンジである。

 

今でこそ薬研堀にpeequodという自分の服屋を持ち、「俺は薬研堀生まれ薬研堀育ち」みたいな面しているがこのpeequodという店は十日市がなければ生まれてなかっただろうなと思う。

まず、peequodの店舗を紹介してくれたのはヲルガン座で一緒に働いていたサナエさん(サナエさんも今、的場町であかいはりねずみというカフェを1人でやっている)だし、

peequodのマスコットキャラクターのおしっこくんを産み出して、そしてショップカードを作ってくれたのはヲルガン座の上の廃墟ギャラリーで知り合ったさとうもぐもさんだし、


peequodのマスコットキャラクターおしっこくん

レジとかいろんな備品をくれたのは藤崎が紹介してくれた物件のすぐ近くでedenというアクセサリーショップをしていた川田さんだし、

peequodとして初めてちゃんとコラボしてグッズを出した小骨トモ先生もヲルガン座で知り合ったし、

小骨トモコラボアイテム (9月1日発売)

他にもたくさんの人と十日市で知り合い、お世話になり、今でもpeequodにも来て関わってくれる人もいる。

なんなら僕が副業で服を売り始めたきっかけも、完全にヲルガン座なので、peequodの半分くらいは十日市遺伝子みたいなところがある。

十日市は本当にいろんな人が集まる

これは十日市ならではの理由がちゃんとあると個人的に思う。

広島には路線が1番〜9番まであるが、十日市電停はそのうち5本も通る。これは広島市内の電停の中で最も多い(広島駅や八丁堀や紙屋町西でも4本)。

JRの広島駅も横川駅へも市電で一本だし、バス停も多いし、なんなら高速バスが来るバスセンターも徒歩圏内。

とまぁ立地と公共交通機関的に本当にどこにでも行きやすいのだがそれだけでなく、僕自身がいい例で、

「住所不定無職」「十日市住みヲルガン座スタッフ」「広島の繁華街でアパレルオーナー」の面白人生ゲーム転職をやってるんだけど、これも十日市に来なければこの分岐自体そもそも出現してなかっただろうなと思う。

人生レベルで十日市は「どこにでも行きやすいところ」なのかもしれない。

「君はどこへでも行けるのにどうしてそんなところにとどまっているんだい?」ージョン・レノンー

「いい子は天国に行ける。でも悪女はどこへでも行ける」ーメイ・ウエストー

「気がつかなかった、まさか自分の家のドアが『どこでもドア』だったなんて。

ドアをあけて外に出れば、どこへでも行けたんだ。」ーハチミツとクローバー、羽海野チカー

素敵な靴はあなたを素敵な場所に連れていってくれるーヨーロッパの言い伝えー

これらの著名な言葉は全て十日市で生まれた言葉であると言われている(俺に)

「どこにでも行きやすいところ」というのは裏を返せば「どこからでも来やすいところ」ということである。

実際に流川を拠点として活動している僕もほぼ毎日十日市を市電や自転車で通っている。

十日市から出て横川や広島駅の方で独立してお店をやっている知り合いや、転勤で県外に行った人とも、十日市に行くと不思議なくらいよく会う。

何をするにも吸い込まれちゃうところ。広島の手塚ゾーン

第二の故郷、というのがみんなにもあると思うが僕にとってのそれが十日市だ。

またいつか住んだり店舗出したりで何かしら関わる日が来るんじゃないかなと漠然と思っている。

実際にそう思っていた矢先にマサキマサユキさんから、「君はまだ十日市を知らないの記事一本書いてみませんか?」と連絡が来た。関わる日、すぐ来た。これが手塚ゾーンたる所以。

「どこにでも行きやすいところがいいです。」

この言葉から始まった十日市での生活は、今では僕を愛(ラブ)で溢れる街流川・薬研堀に連れて行ってくれている。

9月には広島を飛び出して大阪で5日間ポップアップもする。

素敵な靴が素敵な場所に連れて行ってくれるように、素敵な土地は素敵な場所を生むし、あなたを素敵な世界へ連れて行ってくれる。

peequodのルーツ、十日市はそんな不思議な魅力のある素敵な場所だ。

 

 

・・・・・・

(♪〜)

テレレレレン テレレレレン テレレレテッテー テレレレレン

テレレレレン テレレレレン テレレレテッテー テレレレレン

 

「・・・いかがでしたでしょうか?住所不定無職の青年が十日市と深く関わり、最終的に繁華街でアパレルショップを開くお話。

運命というのは実に数奇なものです。そう、奇妙な世界へ通じる扉は、あなたの直ぐ側に開いています。

次にその扉を開けるのは、

 

あなたなのかも知れません・・・。」

 

(マジで締め方全然わからんくてむりやりタモリタモユキぶち込みました。とりあえずタモさん出しとけば締まるみたいなとこある。おしまい。)

あとがき

うしろ髪ひかれ隊の「あなたを知りたい」という曲(ハイスクール!奇面組のオープニング)に「すべてを知りたい もっともっと知りたい」という歌詞がある。

素敵な女性がそうであるように、この十日市も知れば知るほどに知らない部分が出てくる。

「すべてを知りたい もっともっと知りたい」

十日市に性別があるとしたらきっと女性だ。それもとびきりのいい女。そう思わせる魔性があるから。

そう、僕を含め、

君はまだ十日市を知らない。

 

used&new peequod

広島県広島市中区薬研堀4-15 2F
営業時間:主に夜 主に火水木休み

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