【spirale.】路面電車を眺めながら、グラスを傾ける昼下がりを。

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時盛 郁子

時盛 郁子

食べることと読み書きと、予定をぎゅうぎゅうに詰め込んだ旅が好き。

休みの日は、ゆっくりと過ごしたい。でも、いつもとは少し違う時間も過ごしてみたい。そんな気持ちを満たしてくれるワインバーが榎町にあります。

2022年11月にオープンした「spirale.」(スピラル)。十日市らしい景色を眺めながら、お昼からワインを楽しむことができます。

十日市電停から徒歩1分ほど。白い外観のフレックスビルの2階にある。

落ち着いたピンク色の看板を見つけたら、階段を上がって。

「これぞ十日市」な景色とともに

大きな窓から光が差し込む店内には、カウンターが12席とワインセラーが。窓の外を見ると、石畳の上を路面電車が行き交う十日市らしい景色が広がります。

白い壁とグレーのカウンターにグリーンが映える店内。一人での利用や、初めての利用も多いそう。

店内のワインセラー。オンラインショップや電話でワインを購入することもできる。

ずっと十日市の街並みが好きだったんです。古い建物もあって、老舗やディープなお店、新しいお店が混ざりあっている。飲食店もスーパーも薬局もそろっていて、このエリアだけで暮らせるようになってきているのもいいですよね」と話すのは、オーナーでソムリエの大崎友子さん。

前職の都合で約10年前に福山市から十日市に引っ越してきて以来、古い街並みを残しつつも変わっていく十日市に魅了されてきたのだといいます。「お店を開くなら十日市がいい、とずっと思っていました」

ふわりと吹き込む風と路面電車の音が、ワインを楽しむ時間を彩る。

店名の「spirale.」は「螺旋(らせん)」という意味のフランス語。植物のつるが渦を巻いて伸びていくように、いろいろな人を巻き込んで、お店やワイン業界、十日市の町がもっと成長していくようにという願いが込められています。

オープンして約半年、「十日市が好き」という気持ちのつながりを感じることも。「十日市の方も受け入れてくださって、近くの服屋さんやお菓子屋さんの方が来てくださることもあります。みなさんと“十日市っていいですよね”って話せるのが、すごく嬉しいです」

入口には植物のつるやワインボトルをイメージさせるオブジェが。

ワインは大崎さんセレクト フードメニューも

「spirale.」で楽しめるワインは、赤、白、泡、ロゼ、オレンジの5種類。常時約12本のボトルが開けられていて、1杯1200~2500円程度で楽しむことができます。

ワインはもちろん大崎さんがセレクトしたもの。大阪などの試飲会に出かけたり、お気に入りの生産者のものを選んだり。時には、フランスまで生産者に会いにいったこともあったそうです。

大崎さんが選ぶワインはフランスや日本のものが中心で、渋みが強くなく、エレガントな味わいのものが多いそう。広島の生産者を応援できるか、自然のサイクルを止めない持続可能な生産をしているか、ということも大崎さんがワインを選ぶ時のポイントですが、「やっぱり“おいしいかどうか”が1番です

オーダーは、5種類のラインアップの中から選んでも、「こんな雰囲気、味のものが飲んでみたい」と伝えても大丈夫。今回は「休みの日に、明るいうちから飲むのが嬉しくなるワイン」とお願いしました。

ワイン「北ののぼ ロゼ」と「ドライいちじくバター」

大崎さんが出してくださったのは「北ののぼ ロゼ」。栃木県にある「ココ・ファーム」というワイナリーのロゼスパークリングワインです。「日本を代表するスパークリングワインの一つで、白は国際会議で提供されたこともあります。シャンパーニュと同じ製法で造られているんですよ」

グラスの底から立ち上る泡は、見るだけでも十分に分かるきめ細かさ。少し口に含むと泡がすっと消えて、軽やかな甘みが残ります。やわらかなピンク色も、とても上品。食事と一緒に楽しむワインもおいしいけれど、ゆっくりとワインそのものを味わいたい気持ちになります。

今回は午後の取材でしたが、夕食前にアペリティフとしてスパークリングワインを飲んだり、夕食後に二軒目としてワインを楽しんだりする方もいるそうです。時間帯によっていろいろなワインを提案してもらえるので、ぜひ大崎さんに相談してみて。

「キャンディみたいですよね」。想像以上の甘さに驚く。

「ドライいちじくバター」(600円)は、バターをドライいちじくでサンドした人気の一品。バターはさっぱりとしていて、一人でもぺろりと食べられます。金色のラインがくるくると描かれたガラスのドーム、かわいらしいピンク色のプレートからは「食器も大好き」という大崎さんのこだわりを感じます。

「自家製パテ ド カンパーニュ」も人気メニューの一つ。

フレッシュなサラダが添えられた「自家製パテ ド カンパーニュ」(1000円)は、ボリュームたっぷり。お肉のごろごろとした触感を楽しめる一皿です。バルサミコ酢を煮詰めたソースは甘味が引き立ち、まろやかな味わいです。

取材時のメニュー。時期によって入れ替わるので何度行っても楽しい。

通常のフードメニュー以外にも、他のレストランのシェフがカウンターに立ち、中華料理や生ハムなどが楽しめる機会も。イベントは不定期で開催されているので、ぜひInstagramでチェックしてみてくださいね。

「ワインを知りたい」に応えたい

店内では、ワインをもっと知りたい人向けの勉強会も開催中。講師認定を受けている大崎さんの講習を受け、ソムリエ協会が主催する「ワイン検定」の「ブロンズクラス」「シルバークラス」の受検に挑戦できます。

前回は3日間開催され、ほとんどの日程が満席に。20~60才代と幅広い年代の方が受講したそうです。

窓際のカウンターは勉強会に適したレイアウトになっている。

受講の資格は「20才以上であること」のみ。ワインバーに行ったことがない人も、普段はワインを飲まない人も大歓迎だそうです。「ワインの世界は、品種などを少し勉強しただけで一気に分かることが増えて広がっていく。私も今はソムリエですが、最初はただ“ワインが好き”というところからスタートしています。ここが誰かが初めの一歩を踏み出す場所になったらいいなと思っています

「今後は私が主催する勉強会も開催していきたいです」と大崎さん。

ワインを飲み、楽しむ場所として。もっと知りたい人は、学びの場所として。十日市らしさとワインの魅力が詰まった「spirale.」をぜひ訪ねてみてくださいね。

spirale.(スピラル)

広島市中区榎町10-15 フレックスビル2F

【定休日】不定休

【営業時間】13:00 – 23:00 ※金曜日は17:00-

TEL:070-8585-5921

Instagram:@spirale_hiroshima

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食べることと読み書きと、予定をぎゅうぎゅうに詰め込んだ旅が好き。
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